おしらせ

知っておきたい!!畳の産地の現状について

2025/11/6(木)

皆さま、こんにちは!

千葉県市原市の冨松畳店です。

今回は、なかなか知る機会が難しい”畳の産地”ついての情報を載せていきたいと思います。

皆さまの畳替えの参考になれば幸いです。

 

突然ですが…皆さまのお家の畳はどこ産でしょうか?

皆さまのお家にある畳がどこ産なのか、考えたことはありますか。

畳市場における国産のシェア

↑日本全国の畳市場において80%が中国産、化学表。残りの20%は国産の天然畳表が使用されています。

 

平成元年頃まで畳表の市場においては、国産がそのほとんどでした。

その後、畳表は敷き込んだ時は同じように見えるため、価格の安い中国産がシェアを伸ばし、近年は化学製品の畳表の需要が増えています。

その陰で、生産基準が厳しく、生産工程も非常に大変で技術が必要な国産畳表が、年々、危機に陥っています。

 

このような中、熊本県藺製品卸商業協同組合では、消費者の方へ天然い草の良さをより分かりやすく伝えていきたいと考え、

天然い草の畳表も、化学表も両方熟知されている畳店にアンケートを実施されました。

当店も”い草の畳表”で回答させていただいております。

畳のプロが自宅に畳を敷くなら い草?化学畳表?

熊本県藺製品卸商業協同組合アンケート結果より
熊本県藺製品卸商業協同組合アンケート結果より
結果は、『86%の畳店がい草の畳表を使いたい』とのことでした。
理由等、詳しくはアンケート よりご覧ください。

国産における熊本県産のシェア

畳の原料となる”い草”は現在、97%が熊本県八代地方で生産されています。

かつてい草の産地といえば岡山、広島(備後表など)と言われていましたが、昭和50年以降は熊本県産がシェアを伸ばし、

現在ではほとんどが熊本県産となりました。しかし畳市場全体の中では上のグラフのように約20%となっています。

 

2020年に『伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術』がユネスコ無形文化遺産に登録され、『畳製作』もこの中に含まれています。

こうした日本の生活伝統文化である”畳”が今、危機に陥っています。

畳表(畳の表面のゴザ部分)の原料である”い草”生産農家数が減少しているのです。

 

熊本県のい草農家戸数推移

一大産地、熊本県のい草・畳表生産者数が加速的に減少し続けていることが現状です。

平成元年に5460戸あったい草農家数は、現在(令和7年、2024年)で223戸に減少。

2025年の現在では200戸をきり、あと100戸まで待ったなしの減少に迫っています。

 

 

なぜ?

・労働賃金の低さ

い草農家さんは、い草を栽培し、畳表になるまでが一軒の農家さんの仕事です。

い草の苗から畳表になるまでに約2年の歳月がかかり、例えば、7月のい草の刈り取り時期には早い農家でAM2:30〜の作業を家族総出で約半月以上行います。

あるい草農家の方の話では「俺の賃金は時給に換算すると120円にしかならないんだ…」とおっしゃられていたと。

腕の良い高品質ない草・畳表を作る農家さんです。

 

・い草を作るための産地の経費が上がったこと(機械類のメンテナンス費、肥料などの高騰など)

物価高騰は、一次産業であるい草・畳表生産にも厳しくのしかかります。

また、い草を乾燥させる乾燥釜や畳表を織る製織機械等の機械メーカーも需要の減少により廃盤になったりと厳しい状況です。

 

・い草・畳表生産者の後継者不足

い草・畳表生産の後継者62名のうち、51.1%が60代以上である(2022年統計)とあります。

い草・畳表生産は正直な所、米作りより大変です。なぜなら一人での生産が大変困難な農業であるからです。農家さんの奥様、おじいちゃん、おばあちゃん、親戚の方々などの助けがなければ難しい産業です。特にい草農家さんの奥様は、い草の刈り取りの際にい草ハーベスターに乗り刈り取り、畳表の製織など生産の中枢を担っていると言っても過言ではありません。高齢化などによりい草農家を続けたくても続けることが難しい現状があるのです。

 

・2025年8月11日熊本豪雨による被害

2025年8月11日、熊本県で線状降水帯が発生し、起こった豪雨災害ではい草の産地である熊本県八代地方に甚大な被害をもたらしました。

床上、床下浸水、車、い草を刈り取るハーベスター、い草乾燥釜、畳表製織機、今年7月に刈り取りしたい草達、出荷予定であった畳表、田圃などい草・畳表に関わる多くのい草、畳表、機械類などが水没し、過去最大の被害でした。

ある生産農家さんのお話によると「みんな、今まで雨による水害は無かったから保険をかけている人も少ないんじゃないかな。」と。

減り続ける生産者数に拍車をかけるような豪雨災害です。

今年、米価格の高騰により、産地熊本では多くのい草農家の方々のい草の生産意欲が薄れていってしまっている事もまた現状です。

 

土壌が豊かな熊本県八代市では昔、い草の田んぼが一面に広がっている光景だったのだそう。

当店の店主がい草・畳表の勉強のため、初めて熊本県八代市の地を訪れた20年以上前と現在の景色はかなり変わってしまった。

今では、い草の田圃も見つける方が難しいくらい。

↑2025年7月のい草・畳表生産農家の上本さんのい草の田圃  photo:冨松美紀

残していきたい日本の美しい田園風景です。

 

私たちが今、できること 〜冨松畳店での取り組み〜

国産、熊本県産の畳表の良さは、い草・畳表生産者の方々の価値観から作り出される”安心、安全、高品質”です。

自らの本質(安心・安全・高品質)を研ぎ澄ますように田圃の土づくりからこだわりと愛情、情熱、時間、費用、苦労、技術に全力を注ぎ、い草、畳表を作っている生産農家さんがたくさんいらっしゃいます。

その努力と手間ひまをかけた分だけ畳表には”個性”が現れます。

畳屋も同じだと思うのです。

お客様のために素材(畳表)の目利き、藁床の補修、畳縁の付け方、畳の機械の選び方、畳に対する信念、愛情など手間ひまと技術を注いだ分だけ畳に現れます。

”我々畳店は畳を製造販売するだけではなく、農家さんが育て製織した畳表がどの様に作られ、どんな特徴があるのか、お客様に伝え、選んでもらえる様にしなければいけないのではと思います。

畳表の約半数以上が中国産と言う現状の中、熊本産と中国産の違いをお客様に説明出来なければ、国産畳表ではなく安い中国産表で良いと言う事になります。

この減少を食い止めるためにも畳店がお客さんに伝えていくことがせめてもの役割だと私は思います”【冨松畳店 六代目 店主より】

 

 

 

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