お知らせ

2016/02/09十年来

約10数年前、一目惚れした畳表があります。それは織物の更紗の様で肌理細やか。それでいて力強さと迫力がある。同じように見える畳表。しかし、明らかに一線を画す。まるで畳表がオーラを発している。こんな表を織る生産者がいるのか。いつの日か会ってみたい。そんな思いにさせる畳表でした。偶然にも、当時熊本からJAやつしろい業部の方達が千葉市原に市場調査に回って来ていました。一番最後に当店へ立ち寄り、扱ている畳表を見てもらいました。なかでも特に詳しい、当時畳表入札担当主任の方。話が盛り上がり「この表は私が扱った表たい。”よか”でしょ。回って来た中には裏ルートの表、中国産しか扱っていない店、色々あった」との事です。「冨松君、まだまだ良い物がある。畳表の勉強がしたいなら私が案内をします。ぜひ一度、やつしろに来て下さい。」導かれるよう翌月、熊本に飛び立ちました。当店に来られた入札担当の方はい草農家さん、産地問屋さんも一目置く、畳表の目利き中も目利きの方でした。早速、生産農家さんを数件案内してもらいましたが、行き先はすべてトップクラスの生産農家さんばかり。彼らが織り上げた畳表を見た感想は”恥ずかしながら”こんなに良い表、どんな畳屋が使うのだろう。国産表は使用していましたが次元が違う。そんな衝撃を受けたことを思い出します。そして、最後に伺ったのが日本一の畳表を生産する冒頭の橋口氏。当時、畳屋が産地に行くのは非常に少なかったようで、訪問を歓迎してくれ、夜の席でも話は尽きません。畳表の事となると真剣、そして真面目。それでいてユーモアがある。この時出会った仲間とは今でも付き合いがあります。畳表と作り手が結びつき念願叶った約10年前の事です。

← 前の記事 記事一覧 次の記事 →